なぜ、今『茶道』なのか?
ここでは具体例を交えて、私が茶道をお勧めする訳をお話したいと思います。
日本文化を知って真の国際人へ
『国際化教育』=『日本を知らない日本人?』
国際化教育の旗の下で、英語と外国文化の習得が叫ばれ、幼児期からの英語教育が持て囃されています。正しい日本語を話す前に英語を勉強してどうなるのでしょうか。ちょっと待ってください!その前に大事なことを忘れてはいませんか?自分達の国である日本のこと、日本文化についてどれだけご存知ですか?
自国文化を知らない人は外国人に日本・日本人を語れない
外国に行き或いは外国人とお付き合いするときに、あなたは自分の国の文化について話すことが出来ますか?どの程度日本のことを知っていますか?
「真の国際人」になる前に、まず「真の日本人」になることが肝要です。私の長い海外駐在の経験からも自信を持って言えることです。別に外に目を向けなくても、日本人なのに日本の文化の良さを知らずに一生を終えることは悲しいことであり、又恥ずかしいことではないでしょうか。
伝統文化・芸術を知れば日本と日本人が好きになる
伝統的な日本の文化・芸術を知れば、日本が、日本人が、好きになります。好きになれば日本人として生きていることに幸福感を感じ、更には誇りも持てるようになると思います。
日本文化を理解すれば外国文化が見えてくる
日本文化を理解することにより、それとの比較で外国の文化も良く理解できるようになるのではないでしょうか。
自国文化を理解する人は外国人からも尊敬される
外国人が求める日本人像は自国文化である日本文化のことをよく知っていることです。自国について知っているからこそ、お互いの文化に対する理解と尊敬の念が深まり真の友好関係を築くことができます。
【コラム:日本文化の融合体=茶道】
日本文化の融合体=茶道
茶道を稽古することで多くの日本の伝統文化を知り、触れる事ができます。その中にあなたの好きなものを見つけることが出来るはずです。例えば・・・
| 禅 |
茶禅一味という言葉通り、禅の思想は茶道と不即不離の関係にあります。茶会や茶事のときに床(とこ)に掛ける軸には禅語は多いのはそのためです。 |
| 書 |
床には禅語のほかに昔の歌人の書いた和歌もよく掛けられます。案内状やお礼状も巻紙に筆で認めるのが基本です。 |
| 香 |
茶席では香が焚かれその香を楽しみます(「聞く」という)。 |
| 花 |
床に季節の花が野にあるように活けられ季節を感じることが出来ます。 |
| 懐石料理 |
濃茶を美味しく喫するための食事で一汁三菜が基本です。食材に加え器も楽しみです。 |
| 和菓子 |
濃茶の前に主菓子(おもがし)、薄茶(うすちゃ)の前に干菓子(ひがし)を食べますが味だけではなくその形や彩に季節を感じます。 |
| 陶磁器 |
茶入(濃茶の容器)、茶碗、水指(水の容器)、蓋置、菓子器など多くの茶道具に使われています。 |
| 漆器 |
棗(なつめ、薄茶容器)、干菓子器、炉縁など様々な意匠の漆器があります。 |
| 茶室建築 |
日本人の感性の極致といえる建築です。 |
| 木工品 |
棚、菓子器、煙草盆など細工の精緻さが見事です。 |
| 金工品 |
釜、火箸、灰匙などにも伝統の技術が生かされています。 |
| 着物 |
TPOに応じて着物・帯を替えて楽しみます。 |
| 庭 |
茶室へ誘う空間の演出で「露地」といいます。 |
| 和歌 |
和歌から「銘」をつけた多くの茶道具があり、そこから話が弾みます。 |
などなど枚挙に暇がありません。茶道は正に日本伝統文化・芸術の融合体と言えるのです。
ビジネスに役立つ茶道
茶道はビジネスと関係ないと思われがちですが、実際にはさまざまな効用があるのです。
- 「思いやり」の心で接すれば、相手の心を和ませることが出来ます。そのような相手とのビジネスは楽しい筈。
- 一杯の茶を出すための入念な心構えと入念な準備はビジネスでも必携です。
- 奥行きのある話題提供はビジネスの序章には欠かせません。
とはいえなかなかピンと来ない方も多いかもしれませんね。それでは具体的な例をご紹介しましょう。
国内編
企業の応接間にはよく美術品が飾られていますが、それを話題にすることにより相手の心を和ませ交渉がスムーズに行くことがあります。ある企業の経営者とお会いしたときのことです。応接間に古九谷焼の大皿が飾ってありましたので、お茶の世界では懐石料理のときに使う皿や銚子で古九谷は垂涎の的ですというようなことをお話したら、その方は喜んで多くのことを教えてくださり、又私のことを気に入ってくださいました。その後の仕事が非常に順調だったことは言うまでもありません。
海外編
シーン1:個人宅に招かれた際
外国でビジネスをしていると相手の方の自宅へ招かれる場合、ホストはゲストの国の文化を理解している人をホスト側の友人として招くことが良く有ります。
居間に通され、食前酒を飲みながら双方の興味のありそうな話題(文化的なものが約束)を話します。柔道や相撲などスポーツも話題としては結構ですが、ホスト側としては日本の文化のことを聞きたがります。特に禅や茶の湯は人気があります。日本人は禅に通じ、茶の湯も知っていると思っている人が多いのです。
こんな時、ゲストが禅や茶の湯を全然知らなかったらどうでしょうか? 彼らが日本の代表的な文化と考えている事柄について知識の無い人をビジネス相手として対等に評価するでしょうか?
シーン2:パーティでの会話
ロス・アンゼルス駐在時のある日、地元のホテルで経済界のパーティーに出席しました。そのとき、ある若手のアメリカ人と話を始めましたところ、日本史に興味を持っていることが判り、日本史好きの私も興に乗り話が弾みました。
そのうちに陶芸が話題になると、彼は安土桃山時代の陶器について細かく質問してきましたが、それは私の知識の遠く及ばぬ事柄で、日本史通と密かに自信を持っていた私は脱帽せざるを得ませんでした。
何故それ程日本の文化に詳しいかを尋ねたところ、イギリスに留学して安土桃山時代の陶器や漆器を専門的に研究したそうです。それで納得しましたが、よく考えると、日本人として大学まで卒業した人間がいくら専門的に勉強したからといってわずか5-6年勉強した外国人の質問に答えられないことは恥かしい事です。もう一度日本文化について勉強しようと思ってみると、茶道ほど適したものはないことに気づきました。
このような目で茶道を見ると、茶道はまさに日本の伝統文化の集大成です。単なる知識だけではなく体でその伝統文化の素晴しさを感じることが出来るのです。